新美南吉は昭和14年4月から現在の安城市新田町出郷で下宿を始め、歩いて安城高等女学校(現桜町小学校)へ通っており、安城駅前の商店街がその通勤路にありました。

土地区画整理事業などで南吉がいた頃と街並みは変わっていますが、現在のJR安城駅前商店街には、南吉の日記などに登場する店舗が残っています。

吉野屋

  • 住所

安城市御幸本町7番15号

  • 南吉の記述

豊喜といふいつか飯をたべにはいつたことのある料理屋へいつた。案内を知つてゐると見えて、どうぞ此方へと井上がつれていつたところは店の横の體一つがやつと通れる細い露路だつた。つきあたりに茶室風の小さい玄關があり、小さい廻廊みたいなものを通つて二階へあがつた。(日記/昭和14年2月4日)

注)日記には「豊喜」と記述されていますが、記載内容から吉野屋についての日記であることが分かっています。

カミヤ理容

  • 住所

安城市朝日町15番16号

  • 南吉の記述

二度目に神谷愛子の家に髪をかりにいつた。仰向けにねさせられ、顔を剃つてもらつてゐるとき、愛子が學校から歸つて來た。(昭和14年5月13日)

川本

  • 住所

安城市御幸本町7-15 丸杉ビル2階

  • 南吉の記述

四時川本で夕食。洋服のぼろぼろになつた、郵便配達の老人が、鞄を投げ出して、満ち足りたやうに十五錢の夕飯をたべてゐるのを見てゐたら創作欲がわいて來た。(昭和14年5月19日)

横田歯科医院

  • 住所

安城市御幸本町8番7号

  • 南吉の記述

横田醫院の前でわかれて中にはいると一人先客があるので日新堂にいつて本をのぞきしばらくして行つて見るとこんどは母親づれの子供がゐるらしく、二階から子供の泣く聲が聞え、土間に二人の履物がならんでゐた。で今日はやめることにして、ほつとした。(日記/昭和14年6月11日)

金魚屋(現在の「広千」)

  • 住所

安城市御幸本町14番1号

  • 南吉の記述

二本木の牛が驛にゐた。汽車を見て驚きはしり出した。金魚屋の娘が店番してゐる角の店へとびこんだ。四百圓ばかりの損害を與へた。(日記/昭和15年2月13日)

日新堂書店

  • 住所

安城市御幸本町14番14号

  • 南吉の記述

今日サラリイ。日新堂の拂ひが十八圓なにがしあるのには面喰つた。“放蕩”の結果がこれだ。十五圓入金して、うどんやで支那ソバを喰べて寒い野道を歩いて來ると、出て間もない大きな月が私の歸つてゆく村の上にかゝつてゐる。(日記/昭和15年2月23日)

博文堂事務機店

  • 住所

安城市御幸本町8番8号

  • 南吉の記述

「錢」が婦女界十二月號に發表される。日新堂で「文藝」を買ひ、婦女界はあるかきいたら、もう賣り切れましたといふ。博文堂によつて、帳面を買ひ、婦女界は?ときくと、奥から、持つて來た。(日記/昭和15年11月18日)

小林時計店

  • 住所

安城市御幸本町8番1号

  • 南吉の記述

借金を拂つてほしい。(中略)安城の小林時計店に一圓五十錢。(遺言状/昭和16年3月~6月(推定))

南吉の日記に登場する店舗MAP



安城市中心市街地内の南吉関連スポット全体MAP